「アラーナ様、落ち着いてください!」



予言の事を知らないアラーナを気遣い、部屋の外へと連れ出そうとしたセルマを、アルヴィンが静止した。



「構わない…セルマ。ここまできて黙っておく必要はないだろう」



アルヴィンの言葉に全てを察したセルマは、頭を下げ壁際へと下がった。



部屋には、泣き続けるフェリシアの声だけが響いている。



暫くの沈黙の後、アルヴィンが意を決したようにその重い口を開いた。



「ロアは…ある予言を受けて生まれてきたのだ…」



アラーナを見つめる瞳が、一瞬だけちらりと動く。



部屋の隅で、じっとこちらを見つめる銀の瞳…



そんな強い瞳に少しだけ眉を寄せると、アルヴィンは再びアラーナに視線を向け、しかしアランにも聞こえるような声色で話し始めた。