ロアの姿を見て、セルマは部屋へ入るのをためらったが再びロアの名を呼ぶとそっとロアの側に歩みよった。



「もうすぐ…ロア様の…」



そこから先の言葉を、セルマはなかなか言い出すことができなかった。



もうすぐ20歳の誕生日。



普通ならばこれ以上めでたい事はないが、ロアにとって20歳の誕生日は…



「私の20歳の誕生日…でしょ?」



自分をじっと見つめるロアの美しい瞳に、セルマはなかなか言葉を発する事ができなかった。



ロアの瞳は、静かに自分の運命を受け入れ死を覚悟したような、そんな瞳だった。



「自分の誕生日くらい知っているわ」



そう言うと、ロアは再び窓の外に向き直った。