胸が締め付けられるような、そんな切ない気持ちになるのはなぜなのかはわからないけれど…
「もういちど…笑ってください」
「ア…ラン…?」
「あなたの笑顔が…もっと見たいんです…」
絡まり合うふたりの視線…
何かに導かれるように…ふたりの唇がゆっくりと近付いていく…
その時、
――ポツリ…ポツリ…
運命とはどこまで残酷なのだろう…
先ほどまであれだけ晴れていた空が、いつの間にか厚い雲に覆われていた。
そして、心が通い合うふたりを引き裂くかのように…冷たい雨が降り注いだ。
「…ッ、ロア様っ!早く中へ…」
空を見上げたアランは、ロアを早く城へ避難させようとその腕を掴んだ。


