食事の前と後には、感謝の気持ちを込めて手を合わせる…



それがロアの習慣になっていた。



「おいしい…」



温かいスープを口にすると、体の中からじんわりと何かがこみ上げてくるようだった。



初めは自分に向けられる他人の目が恐ろしくてたまらなかった。



皆が自分に同情している…



どうせ20歳までしか生きられないのだから…



だからロアは部屋へこもるようになった。



しかし、セルマと出会い、自分が生きる事を望む人間がいると知りロアは少しだけ救われた気がした。