何年ぶりかの家族との食事の後、ロアとセルマは部屋へと戻ってきていた。
「お疲れでしょう。今お茶をお持ちしますね」
いつものように窓辺に腰掛けているロアに向かってセルマが言う。
「…ええ」
短いロアの返事を聞いた後、セルマはキッチンへと向かった。
少しずつ、本当に少しずつだけど姫様は変わり始めている…
ロアの変化に、セルマはほっと胸をなで下ろしていた。
しかし…セルマにはどうしても気になることがあった。
それは、ロアに笑顔が戻らないこと…
「どうすれば笑ってくださるのかしら…」
そんな事を考えながら、自分の手が止まっている事に気付きはっとするセルマ。
急いで準備をするとセルマはロアの部屋へと向かった。


