すると星矢は突然私を強引に抱き締めた。


「……せい……や?」


あまりの出来事に驚きただただ呆然と立ち尽くす。


「……どうしたの……?」

星矢の腕の中は温かくて優しくて。


心地よい香水の匂いが私の心を満たしていく。


「もう二度と姫華に悲しい思いはさせないから。だから無理すんなよ。
俺の前では弱音吐けよ」


「……うん」


でもね、星矢。


私は無理をしないと生きていけないんだ。


弱音を吐いたらその瞬間、ゲームオーバー。


私の恋は始まりもなく終わりもない。


先の見えない暗闇を彷徨い歩くしかないんだ。