だが、そんな彼にひとつの出会いが待っていた。


「アニョハセヨー。金貸せよー。」


妙な言葉を話し、ケンシロウに近付いてきたのは、どこか水木しげるの漫画に出てくる「ネズミ男」を思わせる風貌の、みすぼらしい小男だった。


「へへへ………旦那、アンタ強そうですねぇ。」


揉み手をしながら彼を値踏みするように見回すネズミ男。


「…………でね、モノは相談なんですが………。」


周りを窺いながら、ケンシロウの耳元でネズミ男は囁く。


「実はアッシ、ユリアさんの居所、知ってるんでゲスよ。」


「…………何………?!」


色めき立つケンシロウに少しビビりながらも、ネズミ男は話を続けていく。


「えぇ、ホントですとも。………ただし、ここから出られれば、の話なんですがねぇ………。」


そう言ってわざとらしい流し目で牢の入り口を見るネズミ男。


だがその時、すでにケンシロウは立ち上がっていた─────!!





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