「本気なら応援するけど、ただの意地なら、そんな人に2度も旦那を奪われる奥さんが可哀想だと私はそっちに同情するけど。」

「ひどい!美鈴はどっちの味方なの!」

「マリコ、こないだくやしいから妊娠してるって脅してやるって言わなかった?」

「それは・・・」

「それは?」

「そんなひどいことしないよ。」

「事実でもないのね?心配して聞いてるのよ。もしかしたら本当のこと言えなくて悩んでるんじゃないかって。」

「うん。ちがう。」

その後彼女はだんまりしてしまったので、コーヒーを飲みきったあと、私たちは帰ることにした。その晩、私は鶴ちゃんに彼女は妊娠してないと告げた。安心した鶴ちゃんは、前妻との再婚準備に入った。けれどそのことを知ったマリコは、私に死にたいとメールをしてくるようになった。私はマリコが早く鶴ちゃんを忘れて他の男性に目がいくように一生懸命フォローをしていたが、マリコ自身は・・・私のアドバイスなど全く無視して影で鶴ちゃんに連絡をしている様子だった。そしてついに暴走してしまった。ある時また鶴ちゃんから私のプライベート携帯に連絡があった。

「マリコから死にたいとメールがきたまま連絡がとれないんだ。」

すぐに鶴ちゃんに電話をして状況を聞くと、彼女は鶴ちゃんに妊娠したと言い、鶴ちゃんがその嘘を指摘して喧嘩になったと言う。でもこれらは全て鶴ちゃんを再婚させないためのマリコの作戦であった。数ヶ月後、彼女の思惑どおり2人は寄りを戻すことになる。ただ私は2人に振り回されただけであった。