翌日マリコは会社を午前休した。昨日の私のメールがいけなかったのだろうか？不安になり大丈夫？と一言メールを送ると、午後から会社に行くから帰りにお茶をしよう、とマリコから返信があった。

　その日のお茶は、いつになく重たい空気だった。まるでこれから別れ話をするカップルみたいに・・・

「マリコ、何か食べなくていいの？」

「食欲ないからコーヒーだけでいい。タバコ吸うね。」

私がタバコを吸わないので、彼女はいつも気を使って私に一言断りを入れてからタバコを吸っていた。私はその行為にはっとした！妊娠しているならタバコは吸わないはずだ。だとしたらマリコは何を悩んで、鶴見さんに何を話してるんだろ？私は彼女が口を開くまで待っていた。

「美鈴に嘘ついてることがあるんだ。」

マリコは私と目を合わせず、タバコの灰を灰皿に落としながら言った。

「な〜に〜？私そういうのあんまり気にしないよ。悪口じゃなければ。」

「悪口じゃなく、私と鶴ちゃんのこと。」

「まだ続いてるの？」

「ううん、違うの。美鈴には、鶴ちゃんと連絡とってないとは言ったけど・・・やっぱりまだ好きで夜中に電話しちゃう。」

「彼は電話に出てくれるの？」

「メールで返されるときがあって、奥さんといるのかなと思うと泣きたくなる。」

そう話をしながらマリコは思い出したのか泣いてしまった。

「でもマリコ、前に鶴ちゃんの・・・夜の生活が気持ち悪いとか、すごく嫌な時季があって遠ざけてたりしたよね？たぶんそれで鶴ちゃんは前の奥さんと再び頻繁に会うようになったんじゃないの？マリコは本当に鶴ちゃんのこと好き？」

「どういう意味？」

「ただ奪われかえされて、くやしいだけじゃないの？」

マリコは黙ってしまった。