オフィスレディの裏の顔

 翌日からマリコは頻繁に会社を休むようになった。とは言っても、鶴見さんと顔を合わせたくないから休んでいるにすぎなく、家にいても退屈な彼女は話を聞いてほしいのもあって、会社が終わる頃に私に会いにきていた。彼女が口にはしないけど聞きたい内容を私は察して、会社での彼の様子を話した。彼女の話す彼の悪口は止まらず、本当に彼のことは好きだったの?と思うほどだった。ふられて悲しいというよりは悔しいという気持ちが先行しているようだった。私の前だから?でも、それくらいの思いでマリコに家庭を壊された鶴見さんの前妻を思うと、私はどうしても前妻に同情してしまい、マリコが身を引くのがベストなのではと思っていた。だから、マリコが彼をあきらめれるよう、彼女と一緒になって彼の悪口を言い話しに付き合っていた。

「あ〜ムカつく。鶴ちゃんにふられるんだよ?あんな・・・くまのプーさんみたいなのによ?」

「プーさんはかわいいじゃん。」

「そうだけど・・・それに北朝鮮の工作員みたいだし!」

「まぁ・・・顔は昭和だし雰囲気はそんな感じだけど・・・」

「なんでふられなきゃなんないのよ。というか、別れた前妻と再婚って聞いたことある?」

「あまり聞かないよね。でもこれでよかったのよ。彼にマリコはもったいないわ!」
「・・・」

「マリコは美人だし頭もいいんだから、すぐ素敵な人見つかるよ。バツイチのプーさんなんてこっちから捨ててやりな!」

マリコは私が鶴ちゃんの悪口を言うと面白がって笑ってくれた。

「妊娠したって嘘ついて慰謝料とってやりたいくらい!」

「それはかわいそうだよ〜」

私は笑って答えた。マリコは冗談だと言ったが、この言葉の真意が後にわかることになる。