オフィスレディの裏の顔

 オークラとは朝食後サヨナラをした。私たちはオークラの会社の直通番号を聞いていたが、かける勇気はなかった。もちろん会社まで訪ねる勇気も・・・

 翌日、オークラがまず連絡をしてきたのは未希だった。スッチーへの推薦をネタに2人で会おうと誘われた未希は怖くて断ったという。そのあと私にも連絡はあったけれど未希同様に2人で会うことが条件だったのでお断りした。でも次の日もまた次の日も連絡があったので、試しに会ってみるのもいいかなと思い私は未希に内緒でオークラの誘いを受けた。

 土曜の午後、渋東シネマの2階のカフェで待ち合わせをした。ギャルや学生カップルで埋め尽くされていた1階入り口を抜けてエスカレーターを上がり喫茶店を入ってすぐ、窓際にいるオークラを見つけた。

「わざわざ窓際に座らなくたって・・・」

私は心の中で思った。同じ世代の子に見られたら間違いなく援交だと勘違いされる。私は機嫌悪そうにオークラに話かけた。

「お待たせしました。」

「お!美鈴、久しぶりだな。」

「まだ1週間しかたってませんけど・・・」

「なんだ、今日は前と雰囲気が違うなぁ。まぁ、座って飲み物でも頼みなさい。」


私はオークラの迎えの席に座ってアイスココアを頼みしばらく外を見ていた。オークラも話すタイミングを探っているようだった。

「美鈴は私に会いに来たから、お前の勝ちだな。」

「何が?競争なんてしてませんけど。」

「私は未希のほうが顔は好みだが、投資をするなら美鈴のような勝ち気な女の方が将来性がある。」

「だから何の話ですか!?」

私はちょっと怒り気味に返事をした。

「よし!お前に株を譲ろう。」

「はぁ?」

「未希にはやらん。あいつは2人で会うのはやだけど株はほしいと言うずる賢い女だ。」

「そういうちょっとわがままなところがある女を、男の人は好きなんじゃないの?」

「お前も素直じゃないな。」