オフィスレディの裏の顔

「ここに朝までいるのは寒いだろう?私についてきなさい。」

私と未希は疲れきって思考能力が低下していたので、何の疑いも不安も感じずにオジサマについて行った。オジサマは東口アルタ前から西新宿方面に向かって歩きだした。私たちがついてきているか確認のためたまに振り返るものの、会話をすることもなく15分くらい歩かされただろうか?てっきりどこか素敵な飲食店でご馳走してくれるのかと思いきや、着いた場所はワシントンホテルだった。

「私はここは顔パスだから。」

そう言ってオジサマはフロントにもよらず、宿泊フロアへ直行した。

「さぁどうぞ。この部屋をつかいなさい。2人で1部屋で充分だろ?私は部屋を移動するから。」

そう言って、オジサマは自分の荷物をまとめて部屋を移って行った。取り残された私たちは何がおきたのかわからなかった。あまり説明もしてくれず、普通のいわゆるビジネスタイプのお部屋を私たちに明け渡し消えていったオジサマ・・・疲れていたのでとりあえずベッドに2人で横になりぐったりしていた。

「ねぇ未希、なんかさ中途半端だよね?」

「ぜんぜんすごくないよね。でもいいじゃん、外で始発待ちするより暖かいし。」

「歩き疲れたしね。というかあのオジサマどこ行ったかわかんないし、名前すらわからないけど・・・朝になってホテルから私たちが部屋代請求されたらどうする?」

「それ、最悪だね・・・」

そんな会話をしつつ半分寝かけていたら、ドアをノックする音が聞こえた。

「あの人じゃない?美鈴見てきてよ。」

覗き窓から確認するとさっきのオジサマが立っていた。

「未希ビンゴ!ドア開ける?寝たふりすり?」

「寝たふりはまずいよ、開けていいよ。じいさん1人に襲われることはないでしょ。」

私はドアを開けてオジサマを部屋に入れた。