オフィスレディの裏の顔

 週末、吉田さんが休日出勤をしたあと飲むことにした。吉田さんは平日はほぼ毎日残業で終電帰りだったので、仕方なく休日に会うことにしたのだ。なのに・・・

「ごめん。仕事のトラブルでまだ会社にいるんだ。終わる時間予想つかないし、待たせるの悪いから、また今度にしていい?」

待ち合わせ時刻にそんな内容のメールが届いた。私はすでに家を出ていたので、

「お疲れさまです。渋谷でショッピングして帰るので、もし早く終わったら連絡ください。」

そう返事をした。予定の待ち合わせ時間を2時間近くオーバーしたころ吉田さんから電話があった。

「ほんとごめんな。もう帰った?」

「お疲れさまです。まだ渋谷にいます。」

「今からじゃやっぱり遅いよね?」

「渋谷なら私家も近いのでちょっとだけ飲み付き合うのもいいですよ。」

「ほな今から移動するから待っててくれる?」

私はカフェに入って吉田さんが来るのを待った。吉田さんが来た時間は22時近くだった。道玄坂近くの洋風居酒屋に入って2人で飲み始めた。会話の内容はみんなで飲むときと変わらず、会社や仕事、職場の人間関係の話ばかりだった。彼は特に私を口説く素振りもなく、なぜ私と2人で飲みたがったのかよくわからなかった。ときおり話が途切れると、お酒の入った吉田さんは寝そうになっていた。毎日終電帰りでかなり疲れている様子だった。私が帰りましょう、と言うと首を横に振ってなぜか嫌がるので、寝ないように私から一生懸命話しかけていた。話題もないけど・・・無理やり鶴見さんやマリコの話をして。なぜなら彼は飲んで寝ると殴っても起きないという話を聞いていたから。そしてお手洗いへ行くときもかなりフラフラしていた。そんなに眠いなら帰ればいいのに・・・私は彼が席に戻ってきたら帰ろうと思い、先にお会計をすませておいた。