オフィスレディの裏の顔

　翌日会社に出勤すると、吉田さんが私との電話を切ったあと彼との仲は大丈夫だったかを心配して会社のメールで聞いてきた。仕事中だし長々とメールを書くわけにもいかず、私は何となく言葉を濁し返事をした。吉田さんの電話が発端で別れ話にまでなったことを気づかれたくなかった。でも吉田さんは悪いことをしたからと、それを理由に私を食事に誘ってきた。私はお断りした。なんとなくマナブに申し訳ないと思った。好きと言う感情はないはずなのに。同情してるのだろうか？自分の気持ちがよくわからないままマリコには旅行であったこと全てを話した。

「昨日喫煙所で吉田さん、美鈴に電話したって話してたわ。」

「え〜！」

「すごいよね〜。吉田さん。わざわざ彼氏と旅行中に電話するなんて、彼相当美鈴のこと気になってるのよ。」

「たまたま旅行先が吉田さんの出身地だから気になったんじゃないかな。なんか・・・ほら、地元の人さか知らない場所を案内したいというか・・・そんな感じ？」

「美鈴もさぁ、よく電話とったよね。」

「たまたまマナブとケンカして私が１人のときだったんだよね・・・」

「たぶんさぁ、電話とってくれたってますますテンションあがっちゃってるよ。吉田さん、最近彼女と別れたらしいよ。」

「えっ！？」

「だから美鈴にちょっかい出してんのよ〜。」

彼女と別れたことを聞いて、少しうれしく思う自分がいた。けれどマナブのことも考えていた。あの時は本当に死にたいくらい足が痛くて感情的になってしまったけど、よくよく考えれば旅行中に別れ話だなんて可哀想なことをしたな、と少し反省をしていた。吉田さんが私に気があるならそれはそれでうれしいけど、やっぱり今マナブと別れるのはちょっと違うんじゃないかと思い直して、数日後マナブに連絡し仲直りをした。

　一方で、私がマナブとうまくいってないことをマリコ経由で知った吉田さんは、会社で毎日のように話かけてきた。マナブと違ってちょっと大人で、仕事もしやすいように色々気も使ってくれるので、私は一度吉田さんと食事に行ってみてもいいかなとお誘いを受けることにした。