オフィスレディの裏の顔

私が電話を切ったあともマナブはイライラしている様子で、だからと言って弁解をしたり機嫌をとるつもりは私にはなく、空気が悪いまま私はベッドに入った。

 翌日、旅行最終日は夜遅い便で東京へ帰ることになってたので、とりあえず三角公園のたこ焼きを食べに向かった。歩きはじめてすぐ、私は靴擦れして足が痛くて不機嫌だった。バンソウコで何とかカバーするも、気候も暑くてすぐ剥がれてきてしまいとりあえずベンチに座った。

「歩きたくない。」

「ワガママ言うなよ。せっかく大阪来たのに座って動かないんじゃ意味ないだろ?」

「マナブがスニーカー禁止するからじゃない。こんな足で歩かせるつもり?ホントにムリだから、どこか近くでスニーカー買ってきてよ。」

「なんで俺が買いに行かなきゃなんねーんだよ。」

ケンカの内容もレベルが低いが、マナブの冷たさにはもう付き合いきれないと思った。別れ話をした。

「靴のせいにしてるけど、本当の理由は昨日夜電話してた奴と浮気してんじゃねぇの?」

ムカついた。足の痛みと一緒にマナブに消えてほしかった。けれど別れることに不満なマナブは、事態の深刻さに気持ちをあらためしぶしぶ私のスニーカーを買いに行った。私は無駄な出費に憤りを感じてた。それと・・・彼の好みに合わせたファッションにしたバカな私自身に・・・

 その後私たちの間では必要以上の会話はしなかった。私は彼を無視して商店街をうろうろし、彼は後ろからただついてくるだけ。別行動してるのと変わりなかった。だからこの旅行3日目の写真は1枚もない。特にすることもなく早めに空港に入りレストランでぼーっとしていた。吉田さんからの連絡もなく私は機内でふて寝をし、羽田から渋谷でマナブとサヨナラするまでも一言も喋らなかった。