オフィスレディの裏の顔

 神戸では異人館周辺をプラプラした。特に何か買うわけでもなく、写真すら撮らなかった。それから海沿い、ポートタワー方面へ移動した。

「あたし夜景が見たいな。」

「じゃ先に夕飯にする?」

「うん。」

私たちはハーバーランドをうろうろして食事するとこを探した。というかマナブが探してくれてるんだと思って私はただ後ろをついて歩いていた。平日のわりには人が多いし、私はヒールだったので足が痛くなっていた。そして昨晩のケンカを思い出した。旅行中の私の服装でもケンカになったのだ。ユニバーサルスタジオにも行くし、靴はスニーカーだけでヒールはもってかないと言ったら、マナブはヒールは絶対だと言ってきた。ヒールがどれだけ足に負担をかけるかなんて男にはわからないんだ、とケンカをしたのだ。私は急に不機嫌になりマナブに言った。

「もう足も痛いし歩くのはムリ。ご飯屋さん1人で探してきてよ。私ここで待ってるから。」

「なんでだよ!?」

「マナブがヒールにしろって言ったんじゃない。痛いのは私なのに・・・。お店予約してればこうはならなかったし。」

痛みとマナブの好みに合わせた自分に悲しくなって泣き出してしまった。

「わかったよ、待ってて。」

マナブは1人でお店を探しに行った。私は近くのベンチに座って靴を脱いだ。バックからなんとなく携帯を出したちょうどそのとき、電話が鳴った。

「吉田さん?」

私は吉田さんからの電話に出た。

「お疲れ様です。」

「おう。お疲れ様。大阪おるんか?どう?楽しんでる?」

「今神戸なんです。」

「おぉ〜そうか〜。あれ?彼氏と行ってるんじゃなかったっけ?」

「そうですよ。」

「じゃぁ、今電話してたらあかんやんか。」

「電話してきたのは吉田さんのほうじゃないですか(笑)今ちょうどケンカして一緒にいないので、ナイスタイミングです!」

思いがけない電話に、私はうれしくて話続けた。