オフィスレディの裏の顔

 次の日、私は会社で携帯ばかり気にしていたけど、意外にもキムさんから電話がかかってくることはなかった。私も、この先どう進めてよいかわからず連絡をしなかった。キムさんがお相手だと、恵一さんのときのようにただお小遣いをもらうだけの関係ではいられないと思った。愛人として関係をもつことが嫌なのではなく、恋をしてしまいそうだった。お金では割り切れないと思った。

 夜、渡辺さんから電話があった。

「お疲れ様です。」

「お疲れ様です。梨香ちゃん、明後日の夜はあいてますか?」

「金曜日ですか?大丈夫です。」

「では予定空けておいてください。当日また連絡します。」

渡辺さんは昨日のことには何も触れなかった。そして私は次のお相手がどんな人かも聞かずに会う約束をしてしまった。このシステム、男性は女の子の写真を見て選べるのに、女の子側は写真を見れないなんて不公平である。でも夕飯をごちになるだけでもビンボーOLには有難いというのが私の考えだった。

 金曜日のお昼、いつものランチメンバーの1人である他チームの派遣のマリコとその日はたまたま2人でお弁当を買いに出た。

「美鈴ちゃんに相談があるんだけど、今日帰りお茶できる?」

お茶をするような仲ではなかったのでびっくりだったけど少しうれしかった。

「ごめんなさい。今日は先約があって・・・来週でもいいかな?」

「もちろん。急なお誘いでごめんね。」

お昼休みにできない話って・・・もしかして私の夜の活動を知ってのことだったらどうしようと不安になった。