オフィスレディの裏の顔

「私、目立ってるだろうな・・・」

場違いな感じで恥ずかしくなってきて、来たことを後悔しはじめた。もしかしたら既にキムさんがこの中にいて、向こうは私に気づいてて様子を伺ってるのかもしれない。時間を過ぎても現れないので、私のことを見て好みじゃないと帰られたのかと思って渡辺さんに電話をした。

「お疲れ様です。梨香ですけど、まだ相手の方に会えないのですが・・・」

「梨香ちゃんに携帯教えたよね?かけてみた?」

「私がかけるんですか?」

「じゃ僕がかけるから待ってて。」

電話を一端切った。しばらくして渡辺さんが折り返してくれた。

「梨香ちゃん?渡辺ですが、」

「はい。」

「キムさん、仕事が押してて今会社出たって。もう少し待っててくれる?」

「わかりました。」

電話を切ったあと、化粧直しをしながら待っていた。私の座ってる席からエスカレーターが見える。私は1階から上がってくる人をチェックしていた。年配の男性が来た。そのまま喫茶店に入ってきて空いている席に座った。てっきりこの人だと思ったのに違うのだろうか。もう1人エスカレーターを上がってきた人がいたけど若いので違うだろう。私は先ほどの年配の方が気になって目をとられていた。すると横から声がかかった。

「梨香さん?」

振り返るとさっきの若い男性だった。

「はい。」

「キムです。お待たせして申し訳ない。座っていいかな?」

「はい、どうぞ。」

彼は私の向かいの席に座るとコーヒーをオーダーした。私は・・・・キムさんがあまりにも若くてカッコよかったので顔をじっと見いた。

「仕事が終わらなくてね、申し訳ない。待っててくれてありがとう。時間には来てたのかな?」

「はい。会社終わってそのままここに来てお茶してました。」

「昼間働いてるのかい?会社はこの近く?」

「はい。近くです。」

「そうか。では場所変えよう。おなかすいてる?」

「おなかペコペコです。」

「じゃ行こう!」

キムさんは出されたコーヒーを一口だけ飲み席をたった。私たちはタクシーを拾って六本木へ向かった。