会社では、過去の経歴は隠してできるだけ目立たないようにしていた。みんな私の過去を知れば軽蔑するような真面目さだから。というか・・・失礼かもしれないけど経験したくてもできないんだろうな、と思う。今まで周囲にはオシャレでかわいくて美人で性格も明るくて、そんな子ばかりだったのに、会社って何て暗いんだろうと思った。特にここは。そして出る釘は打たれる。たまに嫌がらせをされることがあった。

定時になりそろそろ帰ろうと思っていたとき、不機嫌な顔をして席に戻ってきた高野リーダーが、私に怒った口調で質問してきた。

「水沢さん、今ノートパソコンの在庫がいくつあるかわかる?」

私は自分のパソコンで管理データを見ながら答えようとした。でもその前に彼女が言った。

「現時点での正しい数が知りたいので倉庫で棚卸してきてちょうだい。」

え!?倉庫には2千台を超える数がある。それを今から?しかも私1人で?悔しかったので私は笑顔ではいと答え倉庫にこもった。棚卸と言ってもただ数を数えるだけじゃない。個々のパソコンの製造番号をバーコードリーダーで読み取るため1つ1つ手に持って確認しなくてはいけない。重たいし結構な重労働だった。