面接が終わって会社の外で千野さんと少しお話をした。

「千野さん、私さっきの仕事興味がないのでお断りしようかと・・・」

「水沢さんの希望する大手じゃないですか!もったいないですよ!」

「まあそうですが。オフィスも広くてキレイだし・・・」

「とりあえず結果を頂いてからまた考えましょうよ。」

そしてその日は帰宅した。もし面接が通ったとしても心の中ではお断りするつもりだった。そして他の会社の面接もいくつか受けていたが、希望100%を満たすところが見つからないまま予定より1日早く千野さんから結果報告の電話があった。

「水沢さんに是非お願いしたいとのことですが大丈夫ですか?」

私のようなまともな社会人経験がない者がこんな簡単にパスするとは思っていなかった。慌てて断る理由を探すが見つからなかった。

「すみません。あまり気がすすまないのですが・・・」

「一応試用期間をもうけてますから、まずはやってみませんか?水沢さんの職歴で大手を探すのは正直厳しいですよ。せっかく面接通ったのでやってみましょうよ。」

押しに弱い私は、紹介を受けてみることにした。

「では、出社日を調整しますので、いつから働けますか?」

「先方の都合で決めて頂いて結構です。」

「わかりました。きりのいいところで来週月曜日からで調整してみますね。」

こうして私は派遣で働くことを決めた。しかし、中田さん・・・本当に私のこと覚えてないのだろうか!?なんとなく・・・私がパスしたのは中田さんの計らいの気がしてならなかった。