オフィスレディの裏の顔

それから10分たってもコールバックがないのでガッカリしていた時、知らない番号から電話が鳴った。

「美鈴ちゃん、ごめんね。さっきは仕事してて。今北海道に来ているんだよ。」

「北海道?」

「お客さんがいるんだ。」

「そうなんですか。この番号は?」

「あ、ごめんね。僕、携帯1台なくしちゃって。しかも美鈴ちゃんのメモリ入ってるほうを。連絡くれてよかった。」

「あれ?私お仕事の携帯にかけちゃってます?ごめんなさい。」

久しぶりの電話だったので、履歴からではなくメモリから発信するとどの番号がプライベートだったかわからなかったのだ。

「で、どうしたの?」

「東京にはいつ戻られるのですか?」

「明後日には戻るけど、時間作ろうか?」
「はい。」

週末にディナーをご一緒する約束をした。
 当日、恵一さんの住むホテルのロビーで待っていると彼が現れた。

「ご無沙汰しております。」

「久しぶりだね。元気にしてた?」

「はい。」

「今日は・・・お寿司でいいかな?」

「はい。」

私たちは徒歩5分くらいのところにある高層ビル内のお寿司屋さんへと移動した。