オフィスレディの裏の顔

「うわー!すごい!かわいい!!」

「やろー。よかったわ。そんなに喜んでくれて。」

私は箱からそのモノを出した。白のハート型の陶器にピンクのバラが敷き詰めてあった。

「みすずには絶対これやと思ったんや。ちなみにこれな、先週からオーダしとったから、お見舞いと違うで。」

「え?お見舞いじゃないの?」

「そうや、明日は何の日?」

「明日?あ!クリスマス?」

「そうやー」

「忘れてた!よっち・・・私よっちへのプレゼント・・・」

「病人は気にせんでええって。」

「先週から考えててくれたなんて、すごいうれしい。ありがとう。」

私はカードが添えられていることに気づいて、メッセージを読んだ。

「メリークリスマス。これからも一緒にいような。」

短いけど素敵な言葉だった。これまでプレゼントをくれる人はたくさんいたけど、メッセージつきなんて・・・同性ならよくある話だけど、男でするのはナルシストくらいだと思ってた。

「よっち、字がきれいだね。」

「そうか、ほめられてうれしいわ。」

よっちは照れていた。

「みすず、実はな・・・もう1つサプライズがあんねん。」

「え?」

「もう1つあんねん。探してみ。」

「箱の中?」

私は箱の中をもう1度見直した。が、ごみしかない。

「何もないよー。」

よっちは私を見て笑っていた。

「ねえ、ないってば。もったいぶらないで教えてよー。」

「みすず探すとこ間違ってるわー。箱の中とは言ってないでー。」

私はメッセージカードが入っていた封筒の中を見た。お花の手入れ方法が書いてある紙しか入ってなかった。私は、わかんないよ、と言った風によっちの顔を見た。するとよっちの目線が、バラの花の方を向いた。

「え?これに仕掛けがあるの?」

私はハートの陶器の底に手をあててみたけど、裏に何か貼ってある様子はなかった。もしかして!?まさか花束の中に・・・・だけど何もなかった。

「なーんだー。花束の中に何かあるのかなってドキドキしたけど、違ったのね。」

「え!?ない?」

「え!?ここなの?」