「今日は早退して家でゆっくり休んだらええよ。今バックとか持ってきてやるから。」
「あ、でもやりかけの・・・」
「仕事はええって。」
するとマリコが気を使ってくれた。
「じゃあ、私がバック持ってくるね。」
そう言ってマリコが部屋を出ようとしたとき、山谷さんが入ってきた。彼女はよっちと鶴見さんがなんでここにいるの?という顔をしていた。
「みすずちゃん、具合悪いから早退するって。今バック取りに行こうと思ったんだけど山谷さん付き合ってくれる?」
マリコのナイスなフォローで、山谷さんは疑ってる間もなくその場を去っていった。
「ねえ、山谷さんにバレたかな?」
「そんなこと気にせんでええって。」
すると鶴見さんが、
「僕もいたから、バレるにしてもどっちかわからないでしょー。」
「そうですね。」
そして私は、お昼休み直前の時間に、よっちに堂々とお姫様抱っこをしてもらって、タクシー乗り場まで連れてってもらった。よっちは私をタクシーに乗せると、運転手にこれで!とお金を渡した。
「お金はいいよ。私もってる。」
「気にせんでええって。場所言わな・・」
よっちは私の家の場所を運転手に説明してくれた。無事家に戻って熱をはかると40度近くあり、その数字を見たとたんまた気分が悪くなりそのまま布団に入って休んだ。
夕方、電話が鳴って目が覚めた。
「もしもし?」
「ごめん、寝てたか?」
「うん。」
「どうや具合は。」
「熱40度ある。」
「そうか。お昼から何も食べてないやろ?」
「うん。」
「迷惑じゃなければ今からそっち行ってええか?」
「え?残業は?」
「鶴見さんがやってくれるで。みすずが心配やから看病してやりーって。」
「珍しいですね。」
「みすずお米あるか?おかゆ作ってやるわ。」
「作れるの?」
「うまいでー。」
「またお母さんみたい。」
「じゃあ今から行くわ。寝とってええけど、俺行ったら玄関の鍵開ける元気あるか?」
「うん。」


