以前、私が元彼と大阪旅行したときに、いっぱい歩くと疲れるからスニーカーにすると言ったら、元彼にヒールじゃないとダメだといわれて嫌々ヒールを履いたら結局足が痛くて歩けなくなり喧嘩になったことを、よっちは覚えていたのだ。
「やさしいね・・・」
「当たり前や!」
その旅行中によっちから電話があったことなど、私たちが付き合うきっかけとなった思い出話をしながら、車でディズニーランドへ向かった。駐車場について車を降りると、よっちはトランクをあけて仕度をし始めた。
「よっち、リュック!?(笑)」
「バカにしたやろー。このほうが疲れなくてええんやって。」
そういいながらリュックの中身を見せてくれた。
「ええか、敷物に、寒くなったときのブランケット、それから暖かいドリンク・・・」
「よっち、水筒までもってきたの?そんなの持ち歩いたら重たいんじゃ・・・」
「だからリュックなんやって。」
「お茶、自分で沸かしたの?」
「そうや。」
「見かけによらずマメだね。お母さんみたい(笑)」
ここはディズニーランドなのに、まるでこれから富士山にでも登ります!というような準備っぷりが私には斬新で面白かった。よっちは私よりはしゃいで、入場するとすぐファストパスをとりにいき、それからグッズ売り場で私がほしいものは全部買ってやる!と意気揚々としていた。ミニーちゃんのカチューシャも手袋も欲しいと思ったけど、今日が終わったら使うのか?と現実を考え遠慮した私をさびしそうによっちは見ていた。でもその分、いちご味のチュロスも、ミッキーの春巻きも、キャラメル味ポップコーンも食べたいものは全部買ってもらったし、これまでディズニーに一緒に来た彼は、並ぶのが嫌いな人ばかりで行けなかったミッキーの家にも入って3人で写真もとれた。夕方5時前からは場所取りで座っているだけだったけど、それでも会話は途切れることなく楽しそうに話続けるよっちはかわいかった。
「今日はありがとう。会社でいかついといわれているよっちと、まさかメルヘンの世界にこれるとは思わなかったよ。」
「まだ早いで。これからパレード見たあと、もう1回プーさん行くで!」
「え?そうなの?」
「なに、疲れたか?」
「ううん、大丈夫。」


