「吉田さんは・・・彼女は納得してないかもしれないけど、一応別れたんですよね?」

「そうや。なんで?」

私は思ってることを正直に話した。

「前に私のこと好きだって言ってくれてたと思うんですけど・・・」

「そりゃあ、好きやなかったらわざわざ新潟まで行こうと思わんで!ただ今の俺の状況からして水沢さんに付き合ってほしいと言っても、説得力ないやろ?」

「そんなことないですけど・・・」

「えっ!?」

「彼氏彼女でもないのにお泊まりしてるほうがちょっと・・・」

「それって俺と付き合ってくれるんか?」

私は運転席に座ってる彼のほうを向き、吉田さんと目を合わせた。そして彼の肩に手をおいて少し前のめりになりほっぺにチュをした。

「やったでぇ〜!」

彼は運転席の窓を開け、手でガッツポーズしながらそう叫んだ。その姿が面白くて私は笑った。

「俺たち付き合うねん!」

彼は外を歩いている知らない人にまで話かけていた。

「恥ずかしいから早く窓閉めてくださいよ。」

「えぇやないか!俺、ほんまうれしいんやって!」

「わかりましたから。」

半分あきれつつも彼の行動がかわいいなと思った。こんなに喜んでくれる人、今までいたっけ?なんて考えながら・・・こうして私たちは社内恋愛を始めることになった。この日は結局新潟に行くのはやめて、箱根へ行って日替えり温泉を楽しんだ。