オフィスレディの裏の顔

部屋の中は、昭和初期と思わせる古いデザインで、壁や家具、カーテンや布団までが汚い感じで衛生面もあまりよくなさそうだった。

「ごめんね、無理矢理付き合わせたみたいで。緊張してる?」

私は首を横にふった。

「とりあえずソファーに座りなよ。」

そう言って、男性はベッドに座った。私たちは一定の距離を保ったまましばらく沈黙が続いた。私は・・・ただ隣りの部屋が気になっていた。

「美鈴ちゃんって言ったっけ?」

「はい・・・」

「隣り座っていいかな?」

私は黙っていた。男性から私のそばに寄ってきた。

「これも何かの縁だし、美鈴ちゃんだってこのまま帰るよりはお小遣いもらって帰りたいでしょ?」

「何もしないと約束しましたよね?」

「この状況でそれは通用しないよね?」

私はキリッと相手を睨んだ。

「じゃぁいくらならいいの?」

「いいの?って何がですか?お茶代ですか?」

「あ~。もうわかったよ。もういいよ。じゃぁこれあげるから、もう帰りな。」

渡されたのは、デートクラブで決められてる最低額のお茶代5千円だった。私はお札を握りしめたままその場を去った。もし接待中じゃなければ、紀香さんたちが隣りにいなければ強引にされていたのだろうか?安心感と色んな思いがこみ上げてきて涙が出てきた。近くで紀香さんを待っていようか迷ったけど、今日の話題にはもう触れたくなかったのでそのまま家に帰った。