オフィスレディの裏の顔

チェックアウト時間ぎりぎりに、私たちは部屋を出た。私は着替えをもってなかったので一度家に帰ることにした。吉田さんが車で送ってくれて、着替えるのを待っててくれた。そして午後会社へ一緒に出勤した。

そんな風に急速に吉田さんとの距離が縮まっていった一方で、私と彼氏のマナブとの距離が離れていった。吉田さんのあんな素敵なデート演出を受けたあと、マナブとのお決まりの週末焼肉デートがだんだん嫌になってきたのだ。マナブは学生で収入もないしプレゼントももらったことがないけど、吉田さんは私にいっぱいお金をかけてくれて、なのに私が嫌がることもしなければ、好きだとは言うけど付き合ってとせまってきたりしない。彼女がいるからかもしれないけど・・・。そんな時、決定的な事件がおきた。

その日、渋谷で友達と飲んでいて帰りが遅かった。時間は23時半すぎ。駅から私の家まで暗い道が10分続く中、誰かが私をつけてきていることに気がついた。ベージュのチノパンに黒の帽子。夏の夜に帽子だなんてすごく怪しい。でも・・・たまたま帰り道が同じ方向の人かもしれないし・・・。私は一旦様子をみようと近くのコンビニに非難した。その人はコンビニへは入らず素通りしていった。

「私の思い過ごしか・・・。」

一安心した私は普通に買い物をすませ雑誌コーナで立ち読みをはじめ、うっかり15分くらい経過してしまった。

「早く帰って寝ないと・・・。」

そう思って急ぎ足でコンビニから自宅へと歩いた。自宅はコンビニのすぐ裏で30秒くらいだけど、ここの道がまた真っ暗でいつも早足で帰っていた。私の家はアパートの1階で、ドアの前は隣の1軒家の塀があって、閉鎖された空間になっている。私はバッグからドアの鍵を出し、鍵穴に入れた。と、その瞬間、5mも離れてない場所にさっきの男が立っていることに気づいた。

「!」

逃げようと思っても、閉鎖されている空間で、彼の立っている方向にしか逃げ道はなかった。私は急いでドア鍵を開けようとした・

「早く!早く開いて!」