私は流されるまま紀香さんと一緒に登録をすることにした。オーナーが戻ってきた。

「登録されるのですね!お2人ならすぐ人気が出ますよ!今日はどうしますか?もうすぐ男性方がやってきますが。」

「もちろん、働いてくわよね?」

紀香さんの呼びかけに思わず首を縦にふってしまったけど、本心は全く乗り気じゃなかった。気づけば女の子が増えていた。みんな見かけフツーの女の子。誰が見てもデートクラブに行くような子には見えない。彼女たちは一体どこでこの世界のことを知ってくるのだろう?

「では、あちらの待機席に座って、楽しくおしゃべりでもしてて下さい。」

「はーい。」

紀香さんは気さくで誰とでも話すタイプだったので、そこにいた女の子たちとすぐに会話を始めた。私は会話は全く耳に入らず、緊張を隠すために愛想笑いが精一杯だった。

午後3時を過ぎた頃、男性客が次々と来店してきた。キャバクラの看板が掲げてあるお店は、普通の人なら昼間営業しているとは思わないはず。彼らは元々はキャバクラのお客様だったのを、オーナーが客引きしているとのことだった。なので団体で来店するお客様も目立った。

システムはこうだ。男性は来店するとまず席に座って飲み物をオーダー。キャバクラなら黙っててもすぐ女の子が席につくが、ここは完全指名制。指名された女の子は席につくとデート内容とお小遣いの交渉に入る。お互いの要求が満たされれば外出、交渉炸裂すれば女の子は待機席に戻る仕組みだ。私は急に怖くなり指名されないように、顔が見えないよう下を向いていた。けれど紀香さんの隣りに座っていたため、不幸にして3人客にまとめて指名されてしまった。

3人客の年齢は4~50代。今日はゴルフの帰りだと言う。接待を受けていると思われる男性が紀香さんを指名した。紀香さんはこういうことに抵抗がないのか、すぐにその男性との外出をすぐにOKした。私も接待側の男性に外出を求められた。ここに1人で残るほうが不安・・・そう思ってとりあえず一緒に外に出ることにした。入り口付近に座っていた男の人の視線を感じながら・・・。