オフィスレディの裏の顔

「ほんと変な意味ないんや。何もしないから水沢さんがよければ・・・」

「何もしないって。」

私は笑いながら答えた。吉田さんを怪しい目で見たことなんてないし、会社の人という安心感と彼女がいることもわかってたので、私は決断した。

「利用もキャンセルもしないなんてもったいないです。今日は泊まりましょ?」

すると吉田さんは驚いた顔をした。

「えぇんか?ムリしてない?」

「やだ、吉田さん。だって泊まるだけですよね?」

「あぁ、それはもちろん。」

きっと吉田さんは、レストランで酔っ払った私が甘えてくるのを見計らって部屋へと想定していただろうに、肝心の私は、甘えないどころか今こうして外を散歩して風にあたったせいで酔いが冷めてきていた。だからそんな真面目な私の返事は、彼の理想いや妄想を壊してしまったのだろう。戸惑いながらも彼は私の手をにぎり、私たちな手をつないだままホテルへとまた戻った。

「ここに座ってまってて。」

私はレセプション近くの椅子に座らされた。彼が受付をしている間、私は色んなことを妄想した。お部屋ってまさかスィートルーム?こんなこと彼女としたらいいのになぜ私なのだろう?今日1日で彼はすごい散財してるけど大丈夫?こんなことするタイプじゃないし似合わないのに、と思いながら彼の後ろ姿を見つめていると、カードキーを受けとった彼がうれしそうに戻ってきた。

「行こか。」

私は黙って彼について行った。夜中0時近かったので、エレベーターもお部屋の階の廊下にも誰1人、人はいなく静かだった。

「先にどうぞ」

彼は私を先に部屋に入れてくれた。前にも何度か泊まったことはあるが、この部屋はちょっと広めだった。

「わぁ〜夜景きれいですね。」

私は真っ先にベランダに向かった。

「ほんまやな。」

私はしばらくベランダにいた。振り返って部屋に入っても、何をどうしていいのか、自分の位置を見つけられるか不安だった。