「出よう」 俺がバーを出ると ナオは黙ってついてきた。 「どこに行くの?」 「わからない」 「無茶苦茶ね」 「かまわないさ」 ナオは愉快そうに笑った。 その笑顔を見て俺も笑う。 「俺だって妻がいる」 「知ってる」 「でもナオが好きだ」 「・・・・」 「好きだ」 ナオの目が潤んでいる。 泣きそうだ。 やっぱり、言ってはいけなかった? 「私…」 まるで 時間が止まったかのようだ。 息さえも止まったように感じた。 「私も、あなたが好き」 そう言った途端、 ナオの目から 涙がこぼれた。