上島奈美の頭は、一瞬でかち割られた。
すばやい動きで取り付いた少女が、割った頭蓋骨の内側から脳味噌を引きずり出す。
桃色のプリンにも見えるそれを、少女はつるつると食べた。この美幸は幼児なので、物事の分別がいまいちつかない。簡単なお使いさえも時々失敗するのだ。
兄は、「まったく」と言葉では叱りつつ、表情ではおてんばな妹を笑って、手にある美幸の脳味噌を奈美の頭にそっと滑り込ませる。
夜店で取った金魚を、鉢へ放すように。とても優しい手つきだった。
ちょうど収まった脳味噌は、じゃくり、じゃくり、じゃくりと小刻みに震え始め、ひとりでに金具やチューブ、コードを頭蓋骨の内側に這わせる。恥ずかしいものを隠すように、かち割られた頭蓋骨をチューブとチューブ、コードとコードが縫い合わせ、閉じた。
美幸の脳が奈美の体を自分のものにするまで、感覚が全身に及ぶまで、朝までかかるだろう。
その間に、美幸の兄は、仕事に取りかかる。
これから、奈美の体を芯にして、最高の体を作らなければならない。
「手伝ってくれるね、美幸」
「ぇつだう、てぅあう!」
すばやい動きで取り付いた少女が、割った頭蓋骨の内側から脳味噌を引きずり出す。
桃色のプリンにも見えるそれを、少女はつるつると食べた。この美幸は幼児なので、物事の分別がいまいちつかない。簡単なお使いさえも時々失敗するのだ。
兄は、「まったく」と言葉では叱りつつ、表情ではおてんばな妹を笑って、手にある美幸の脳味噌を奈美の頭にそっと滑り込ませる。
夜店で取った金魚を、鉢へ放すように。とても優しい手つきだった。
ちょうど収まった脳味噌は、じゃくり、じゃくり、じゃくりと小刻みに震え始め、ひとりでに金具やチューブ、コードを頭蓋骨の内側に這わせる。恥ずかしいものを隠すように、かち割られた頭蓋骨をチューブとチューブ、コードとコードが縫い合わせ、閉じた。
美幸の脳が奈美の体を自分のものにするまで、感覚が全身に及ぶまで、朝までかかるだろう。
その間に、美幸の兄は、仕事に取りかかる。
これから、奈美の体を芯にして、最高の体を作らなければならない。
「手伝ってくれるね、美幸」
「ぇつだう、てぅあう!」

