成長する

親友が、こんな、金属や歯車でできた化け物だったとは。

美幸が絶対感覚の体内時計を持っていたのは、これが理由だったのである。

ショックのあまり失神しそうになった奈美を、

「ところがだ」

「――っひぎ、ぃいいいいいい……!?」

兄が、許さなかった。足に打たれている杭を、さらに押し込め、少女の意識を乱暴に覚醒させる。

甘い、とろけるような声が、妹思いな言葉を紡ぐ。

「美幸はある段階ごとに新しい体が必要なんだ。見た目がいつまでも変わらないとおかしいのはもちろん、人間はね、成長しないといけないんだ。なにより、体が傷んでしまう。脳の活動に、体は百パーセントはついてこられない。ああ……かわいそうだろ? 憐れだろう? 僕はそんな美幸のためにできることを、精一杯やりたいんだ。わかるね?」

「っ、い、ひ……ぁ、っか、ま……まさか……」

「そう、そのまさか」

兄は、奈美から離れる。

そして、宝物を見せびらかすように、両腕を広げた。この部屋の中を見ろと。

「僕はこうして毎回、美幸のための新しい体を用意する。腕も、足も、頭も体も、すべて、より美幸にふさわしいものを。より美幸が引き立つものを」

「っ、それで、アンタは――……!」

琴美の足を、奪ったのだ。