成長する

それは、まるで、時計の歯車が時を刻むような音。

「――まさか、そんなわけ……」

想像するだけ、バカバカしいと思ったが、それ以外、ありえない。

生きているものならば、首をもがれた時点で死んでいる。

しかし、生きて、いないものなら。

首をもがれても、死なない。

それは、目の前の少女も同じ。

たとえどんなに肉体が痛もうと、生きて、いないのなら。

「――っ、はは! わかってもらえたようで嬉しいよ、奈美ちゃん。君は、美幸の親友だったからね。知ってもらいたかった。これが――」

そして美幸の兄は、美幸の頭に親指を立て、

「僕の、愛しい妹さ」

それを、みかんでも分けるように、まっぷたつに割った。

血がしぶきとなって溢れ、奈美の顔をぬらす。

頭蓋骨がプラスティックのような音をあげて割れ、中からは、複雑に金属片や歯車、コード、チューブの絡みついた脳味噌が現れた。

人間の、ものではない。

「僕の家の――北門の秘法だ。半永久的に活動し続けられる。たとえ、こんな状態でもね」

「――そ、……な……。美幸が……」

「ふふ。そう驚いてもらえると嬉しいね」