成長する

「犯人は私じゃなく、琴美を襲った。つまり、琴美を襲ったのには理由がある」

「うん」

「だったら同様に、『女子中学生』という以外にも、琴美以前の被害者にも、襲われる理由がある」

「うん、うん」

「本当にわかってる?」

「うん、うん、うん」

とても中学生が本気で取り組むべき議題ではないというくらいは、頭がついてきていた。

「ならいいわ。じゃあ続きね。共通点は、今挙げた以外には、事件が西区に集中してるってことぐらいね」

「だから、気をつけてって言ったのに……」

「……過ぎた、ことだわ……」

「……」

その過ぎたことを清算するために、琴美を殺した犯人を――犯人を……犯人を、どう、するのだろう。

奈美は犯人を目撃したことを警察に黙っている。

犯人が少女の姿をした化け物なんて言えないとのことだったが……では、捕まえたらどうするのか。

捕まえることが目的ではないのか。

だったら――

「奈美ちゃん、犯人を追いつめて、どうするの?」

「決まってるでしょ」

じゃくり。かちん。じゃくり。

「琴美の仇を討つのよ」

――じゃくり。

「それってつまり――」

「殺すのよ」

「……そっか」