「どうして、女子中学生ばっかり狙うんだと思う?」
直球、すぎる。
「いきなり言われたって、わかんないよ」
ふと琴美の叫んでいた『美学』なる言葉が浮かんだが、それを言ったら張り倒される。
なのに――
「美学……なのかしら」
奈美が一番に、その言葉を蒸し返した。が、それは一片のふざけや無根拠なぼやきというより、理由を追求する真面目さがあった。
「ずっと引っ掛かってるのよ。アイツは、近くにいた私よりも、先に逃げて遠くにいた琴美を狙った」
「そうなの?」
「そう言ったわ」
忘れたの? と続けて責められ、美幸は「ごめん」と謝った。
「まぁいいわ」と奈美は、両肩をひょいとすくめる。
「言った時が言った時だったし、美幸の頭が私の話にかろうじてでもついてきてることを祈るわ」
その点については、大丈夫だと思う。
親友が死んだにしては穏やかすぎる心地で、美幸は立っている。心にさざ波すら起きてない。きっと、感情がマヒしているんだろう。
琴美のいない現実が、うまく呑み込めない。この状態が続く限り、自分の胸中は凪いだままだろう。
直球、すぎる。
「いきなり言われたって、わかんないよ」
ふと琴美の叫んでいた『美学』なる言葉が浮かんだが、それを言ったら張り倒される。
なのに――
「美学……なのかしら」
奈美が一番に、その言葉を蒸し返した。が、それは一片のふざけや無根拠なぼやきというより、理由を追求する真面目さがあった。
「ずっと引っ掛かってるのよ。アイツは、近くにいた私よりも、先に逃げて遠くにいた琴美を狙った」
「そうなの?」
「そう言ったわ」
忘れたの? と続けて責められ、美幸は「ごめん」と謝った。
「まぁいいわ」と奈美は、両肩をひょいとすくめる。
「言った時が言った時だったし、美幸の頭が私の話にかろうじてでもついてきてることを祈るわ」
その点については、大丈夫だと思う。
親友が死んだにしては穏やかすぎる心地で、美幸は立っている。心にさざ波すら起きてない。きっと、感情がマヒしているんだろう。
琴美のいない現実が、うまく呑み込めない。この状態が続く限り、自分の胸中は凪いだままだろう。

