制服とは、正しい着こなしをもって学生の間に、社会への順応性を高める、ないしは、ひとつのデザインを一同に着用することで、組織内の協調性を補佐するもの――と、兄が言っていた。

難しい話はわからない。ただ、制服とは、学生にとっての正装であり、ユニフォームである同時に、喪服にもなり得ると、美幸は実体験をもって知った。
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四度目の事件から二日後。

大木市立南中学校、二年三組の生徒は今、全員揃って、田中琴実の通夜へ参列していた。通夜――という言葉は知っていたが、昼間に行うそれの、なんと空虚なことだろう。目的も、行いの意味も理解できるのに、まるで、真夏の炎天へ届くことのない声を叫び続ける、セミのようにむなしい。

今、自分は、なにをしているんだろう。

琴実は、こんなことをしても、生き返らないのに。

順番が来て、美幸は一歩前へ、棺の正面へ踏み出す。

小さな小窓から覗いた琴実の顔は、綺麗に仕立てられていた。

だが、今にも動き出しそうな――という感想とはほど遠い。