成長する

犯人に遭遇したとして、それをけっちょんけっちょんにするというのは冗談だろうが……

「なんにしても、気をつけてね。むしろ逃げてよ? そういう時は」

「はいはーいっ、脱兎のごとく逃げるのでありまーす」

お調子者よろしくふざけて敬礼をする琴実は、陸上部だ。種目は短距離で、これが相当速い。二年生にして、すでに大会レギュラー常連らしい。

小柄ながら、健康的で無駄のないスリムな脚は、日頃の部活で引き締められているんだろう。ただひょろひょろした自分とは、大違いだった。

それからまた、

「むむむっ、ひょっとしたら、もぎ取った女子中学生の手足を、ショーケースに入れて鑑賞してるのかも!」

「うわぁ、それイヤだ……」

「やめてちょうだい、悪趣味極まりないわ」

琴実、奈美、美幸の三人は、

「それでなかったら、あれじゃない? ほら、快楽殺人とか!」

「なんで琴実ちゃんそんな単語知ってるの!」

「へっへっへっ。このメガネは伊達じゃないよっ。そっち方面の雑学なら任せンしゃい!」

「……ただのバカね」

件の事件について、あくまでも想像や憶測を、いくらか話した。

そして――