「ユキト、顧問が呼んでた」
唐突に空気を変えてくれたのは、秋月会長だった。
「急いでた。早く行け」
「え?あ、う、うん。じゃ、悪いけど彼女のこと頼むよ」
そして最後に私に「お大事にね」と声をかけ、ユキトさんは急いで保健室を出て行った。
顧問というのは生徒会顧問の先生のことかな。
ユキトさんは生徒会の副会長だから、色々と忙しいのかもしれない。
そんな忙しい中呼び出してしまったのかと、少し後悔する。
静まりかえった保健室。
ぐすぐすと私の鼻をすする音だけが響く。
秋月会長は何も言わずに、ただずっと傍に座っていた。



