それでもまだ、サキは教室に来ない。
前の席の机には荷物が置いたままだから、まさか帰ってはいないと思うけど。
捜しに行くとか、したほうがいいのだろうか。
私との会話で教室を出ていったのは明白だし。
となると、私と気まずくて戻って来れないのかな。
だとしたら、私が帰らないと戻って来ないかも。
でも私は、サキのことが気になっていた。
今まで友達にいないタイプだから気になるのか、
秋月会長の話が途中になってしまったからなのか、
ストレートに『気にいった』と言ってくれたからなのか。
サキともう少し話してみたい気持ちが強い。
彼女からしてみたら、迷惑かもしれないけど……
教科書等をあらかた詰め終えたものの、
どうするべきなのか途方に暮れる。
ちらちらと教室の扉に目をやりながら、彼女の影を探すと、
見覚えのある姿が現れた。
もう私の視界にお馴染みになりつつある、秋月会長だった。