私がベッドから降りようと体を起こしたとき、柔らかい制止の声が聞こえた。
「待って。少し赤くなっているから、冷やしたほうがいい」
その言葉に私の目には涙がにじんで、唇をぎゅっと噛み締めてそれを堪えた。
うつむいた私の額に、ひんやりと冷たいタオルが当てられる。
「これで少しおさまるといいんだけど」
ユキトさんの申し訳なさそうな言葉に、私の感情は限界だった。
ぼろぼろと流れ落ちる涙に、驚いたようにユキトさんの手がちょっと固まる。
止めなきゃ、と思っても、次々に溢れる涙はとどまることを知らない。
こんなんじゃ、
ユキトさんが困る、
迷惑に思う、
もうこれ以上、迷惑かけたくないよ……



