授業中、なんとなく落ち着かなかった。
最初から前の席には誰もいなかったんじゃないかというくらいに、
いないことに慣れてしまっていたから、
突然視界に映るようになった後ろ姿へ、違和感を感じていた。
彼女は、机に肘をついていた。
隙間からちらりと開かれた教科書と、まっさらなノートの端っこが見える。
休んでいたぶんを取り戻そうと躍起になるよりも、どうせわからないからと投げ出しているような感じだった。
ろくに頭へ入ってこなかった授業が終わり、次の時間は移動。
教科書を机に出したとき、前の席の彼女がくるりと、後ろの私を振り返った。
はっきりとしたウェーブがついたロングの、ところどころ金の混じった茶髪を指先で髪をいじりながら、
私のことを頭のてっぺんから机のふちギリギリまで、値踏みするように何往復か視線を動かした。
その間、私は気後れしながら、授業の準備で視線に気付かないふりをする。
「ねぇ」
声をかけられてから初めて気付いたように顔をあげると、
くっきりと縁取られた彼女の目に、青みがかった睫が映り、
その目のなかに、私がいた。



