秋月会長は無言で立ち上がり、薬品棚の隣に仕付けられた机から、コンパクトな鏡を持って来て、
私に差し出した。
……顔を見ろってこと?
訳もわからず、でもとりあえず鏡を受け取り、私はやっとお礼を口にする。
「あのっ……ありがとうございま…………し?」
ちょっと!お礼の途中なのにどこに行くのよ!!
秋月会長は私の言葉なんて聞こえていないかのように、ユキトさんのところへと向かって、何やらボソボソと話し始めた。
困ったようなユキトさんの横顔が見えて、私は胸がぎゅっと苦しくなった。
私の告白は、迷惑だったと思う。
そして、そのあともこんなことに付き合わざるを得ない状況になって、本当に迷惑だと思う。
優しいからそんなことは言わないけど、
その優しさが悲しい。



