足が動いた。
校舎へではなく、正門へ。
彼が勝手にしたことだ。
私には関係ない。
そう思うのに、足はだんだん早くなる。
考えていることを無視している私の足。
私のものじゃないみたいだ。
私はわかっていた。
秋月会長が正門での挨拶に遅れたのは、私のところへ迎えに来てたからだ。
私の、せい。
だから私はこうして正門へ向かっているのだ。
向かってどうなるものでもない。
先生に何か言おうとか、秋月会長に何か言おうとか、そういうんじゃなくて。
そんなことしても意味がないってわかってるから。
でも、そのまま校舎に向かうなんて、出来なかった。
正門へ行ったからってたぶん何をするわけでもないと思う。
だけど、秋月会長のことが見たくて。
見たからって何か私の気持ちがどうにかなるのか、
それはわからないけど。
行かなきゃと、思ったんだ。



