「なぁなぁ。あれ見える?」
ひとりの男子が、不自然な格好で私の顔を下から覗きこみ、人差し指でちょいちょいと斜め上を指す。
私は下げた頭をそのままに、首だけ曲げて、その方向を見た。
警察官の採用募集ポスターが貼ってある。
敬礼をしたモデル警察官の真ん中に、どーんと文字が。
『ゴメンで済むなら、警察はいらないんだよ』
「な?」
歯をむき出しにして笑う男子。
「痛いの治るまで、責任もてよ」
そう言って、のみこめていない私の肩に、手を回そうとした瞬間。
「触んな」
という低い声が聞こえたと思うと、
途端にカン高い悲鳴が響き渡った。
「いてっ! もももげる!! 腕もげる!!」
男が無理矢理後ろ手にされ、顔を真っ赤に叫んでいる。
腕をがっちりと固めているのは、秋月会長だった。
「おい、何してんだテメェ」
刹那の間、あっけにとられていた男の仲間たちも、
ハッと我にかえり、秋月会長から男を解放しようと、それぞれに手を伸ばす。
寸前に、男をくるりと回転させ、仲間たちのほうへと押し返した。



