大した会話もなく食事が終わり、個別に会計を済ませた。
秋月会長は私のぶんも出すつもりだったみたいだが、出すと言って頑として譲らなかった私に折れたのだ。
出してもらういわれがないもの。
店を出たところで解散かなと思っていたのだけど、
意外にも「行きたいとこあるか?」と訊かれて驚く。
あまりに唐突だったから、咄嗟に首を左右に振ってしまった。
しかもびっくりしすぎて、うっかりと通行人にぶつかってしまう。
「あ……すみません」
「ってぇーなぁ!」
慌てて謝った私に返されたのは、ガラのいいとは言えないオニーサンたちの睨み。
なんてベタな。
いまだにこんなことが起きる確率がこの世に残っていたなんて、本当にびっくりだ。
しかも自分の身に降りかかるとは。
だけど私が気もそぞろに歩いていて、ぶつかってしまった訳だから、
私が悪いと思って、頭を下げた。
「本当にごめんなさい」



