ガチガチに固まった私に、ふとユキトさんの視線が止まる。
時が止まった。
ついさっきまで中庭から聞こえてきていた声たちも、
廊下を過ぎゆく生徒たちの声も、
さざめいていたものが一瞬で聞こえなくなる。
ユキトさんは、いましがたまで談笑してた顔そのままに、私を見ていた。
硬直して見つめてた私と視線が合った刹那、ふわっと、より一層柔らかい表情になる。
ひだまりみたいなその笑顔に、私はどんな表情を返せばいいのかわからない。
ユキトさんは、一緒に歩いて会話していた友人らしき人に向かって、何事か話しかけた。
と思った瞬間、ユキトさんの足はこちらに向かってて、薄情にも浮かんだのは『逃げたい』という言葉。
でもそんな度胸も勇気もあるはずがなく、私はただ立ち尽くして、ユキトさんがこちらに来るのをボサッと見てるしかなかった。



