ユキトさんはこちらに気付いていない。
もし気付かれてしまったら、気まずさに耐えきれないだろう。
だから気付かれる前に、このまま背を向け他の場所へ向かうべきだと、頭ではわかっているのに、足が動かない。
心臓がばくばくと拍動するだけ。
ユキトさんは、一緒に歩いている人となにかとても面白い話をしているのか、歩みは遅い。
だけど一歩一歩、私に近付いてきている。
それがますます私の心臓の鼓動を早めた。
すると今度は、過度の緊張ゆえか、更に足が動かなくなる。
それどころか心臓以外のもの全てが硬直し、まばたきすら出来ずに目もカラカラだった。
事態が悪化を辿ってるということは、私にも容易に理解出来る。
でも、焦るだけでどこも動かない。
いや、動けないでいた。



