そうしてから漸く、ここは昨日の告白場所だったという事を思い出したというのだから、私はどこか抜けてる。
それは失恋で思考がぼんやりとしていて空虚だからといいたいところだが、常日頃そうなのは自分が一番良く知っていた。
気持ちのよい晴天だからか、中庭で食べてる人が今日はいつもよりも多い。
さざめくような話し声は、友人と連れ立っていない私を突き放しも包み込みもせず、程良く私を一人にしてくれる気がした。
だけど思い出してしまった私は、流石にここで食べるのはやめておくことにする。
そっとドアを閉めて、くるりと踵を返したその時、目の端に人影を捉えた。
思わずそちらに焦点を合わせてしまう。
廊下のずっと向こう側に見える、人影。
購買部でパンを購入したのか、いくつかの袋を手にして誰かと談笑をしている、その人。
「ユキト、さん……」
自分にすらよく聞こえないその声は、受ける人もおらず、そのまま行方知れずになった。
それでも名前を唇にのせただけで、キュッと胸の奥がつまる。
逸らそうとしても、逸らせない視線。
まだ自分の中に『好き』が溢れている。



