ところで、と前置きして、ユキトさんは私に向き直った。
「ここの前にいたってことは、何か用事が?」
「あ、私は──ええと」
迷いがちに視線を泳がせる。
秋月会長待ちです、って言うのもなぁ……と考えてたら、当の本人がさらりと告げた。
「俺のだ」
その発言には、ユキトさんだけでなく、生徒会室にいる一同の動きが、凍りついたように止まる。
私も例外じゃない。
どくんっと一瞬だけ拍動が大きくなったと思うと、胸がズキズキするくらいに鼓動が速くなった。
自然に視線が集まってくる。
私は、言葉の意味を推し量るように秋月会長を見たが、会長は書類に落とした目を上げない。
陸にあげられた魚みたいに、口をぱくぱくさせる事しか出来なくて、
それでも無理して声を出した。
「ち、ちが……」
ぼ、と真っ赤に染まったであろう顔も、かすかにしか動かない。
何かが解禁されたように、
みなの視線が、ゆっくりと秋月会長へ向かって行く。
ヒートアップしていたサキでさえ、固唾を飲んで秋月会長を見ていた。



