「廊下でボサッとしてたから、あたしが入れた」
黙っていたサキが、視線は向けないまま、会話を断ち切るようにして口をはさむ。
ユキトさんが「そう」とすんなり受けた反面、ナツキはサキに軽口を叩いた。
「しずくにしては気ぃ回るじゃん」
しかもサキの嫌がる本名つき。
あ、と私が思ったときには時既に遅し。
勢い良く立ち上がったサキは、椅子を倒し、机を蹴飛ばした。
「名前で呼ぶんじゃねぇよ!」
「行動に見合ったほうで呼んだだけだろ」
「っざけんな」
いきり立ったサキに対し、ナツキは気後れする様子もなく、しれっと軽い調子であしらう。
やれやれ、と溜め息をついて、わってはいったのはユキトさんだった。
「サキ、そのくらいにしておきなよ。
一般の生徒もいるんだから」
やんわりとした言葉だけど、きっちりとサキを押しとどめたユキトさんは、ナツキもたしなめる。
「ナツキも。
嫌がるとわかってる事をするなんて、いまどき小学生だってしないよ」



